Chart NEO|| On Chart MultiTimeFrames MACD

いきなりですが問題です。
(問)MACDはなんの略?
【答え】Moving Average Convergence/Divergence
和訳)移動平均・収斂 / 乖離
直訳するとこういうことになります。
つまり、MAの収縮・拡散を示すインジケーター、という事ですね。↓

それではMACDを観察してみましょう
一般的によく用いられる 12,26,9 のMACDが上図になります。
一番初めのパラメーターが短期EMA、2番目が長期EMAの期間(本数)の指定、3番目のパラメーターがシグナルライン描画のためのMACD値のSMAの期間(本数)となります。
MACDの値は上記パラメーターによって指定された短期EMAから長期EMAの値を引いたものになります。
つまり、
MACD_Value=短期EMAの値 – 長期EMAの値
ということですね。
ここで、MAの基本を思い出していただきたいのですが、
①MAの上にローソク足があれば強気、
②MAの下にローソク足があれば弱気、
③短期MAが長期MAを下から上へ抜けたら上昇のゴールデンクロス、
④短期MAが長期MAを上から下へ抜けたらの下落のデッドクロス
最も基本的な見方がこの4つになりますよね。
この辺りのことについて少し頭に入れておくとMACDも理解しやすくなると思います。
つまり
MACD_Value>0ならば短期MAが長期MAより上にあるので上昇傾向(←③ゴールデンクロス後の状態)
MACD_Value<0ならば短期MAが長期MAより下にあるので下降傾向(←④デッドクロス後の状態)
と言えそうですね。
MACDへの視野を広げてみよう。

という事は…、ですね。
上図のMACDの”0″値ライン=長期EMAの値
と同義という事にお気付きいただけたでしょうか?
MACDラインというのは上例の(12,26,9)という場合だと,26EMAを基準点として12EMAまでの距離が示されているという事になるので長期EMA(26)から短期EMA(12)が乖離していこうとしているのか、収縮していこうとしているのか、が表現されているのです。
※重要
MACDの”0″値ライン=長期EMAのこと
MACDライン=長期EMAから見た短期EMAのある場所
このことを良く頭に入れておきましょう。
MACDのダイバージェンスって?
MACDのダイバージェンスが起こっているとトレンドの終わりが近づいている、トレンドの転換を考える等の使われ方が一般的です。
「そ、そうか… ダ。
ダイバージェン、ス…が起こっている場合ね… ふむふむ。…
……
て、なんやねん!」
それでは、上図でわかりやすいダイバージェンスがおこっているパターンは?というと

赤枠で囲まれた部分がわかりやすいですね。
①実際の価格が上昇しているのにMACDは上昇していない。むしろ下がり気味である。
②実際の価格が下落しているのにMACDは下落していない。むしろ上がり気味である。
こういった状態のことをMACDがダイバージェンスを起こしている。と呼んでいます。
元来、①の状態を正しくダイバージェンス、②の状態はコンバージェンスと呼ぶべきなのですが、
実際のプライスアクションとMACDの傾きが乖離しているという意味なのか、どちらの状態もダイバージェンスと呼ばれることが定式化しています。
つまり
チャートとMACDの傾きが逆向していたらダイバージェンス
なのです。(MACDに含まれている最後のD=divergence⁽乖離)とはまた別物と考えておいた方が腑に落ちやすいです)
MACDにはMACDラインとともにシグナルラインが示されます。
上図チャートの下ウィンドゥ内のピンク点線がMACDラインを移動平均で表し平滑化・遅行化させたラインでシグナルラインと呼ばれるものです。シグナルよりも上にあれば過去と比較して強気、下であれば過去と比較して弱気という事になります。(すべての指標に当てはまりますが、すべての値は過去との比較に過ぎません。決して未来を予測しているものではありません。そもそも、インジケーターというのはトレードに勝つためではなく、チャートを分析して現在のマーケットの状態を見極めるために存在しているものです。それを意識できるようになると、自分の判断に基づいたトレードを実行できるようになり、結果として勝ちトレードが負けトレードを上回ってくるようになります。)
MACDラインとシグナルラインを使ってマーケットの分析をすることが基本のインジケーターです。
上を見ていただけたらお分かりのようにダイバージェンスが起こった後、価格は逆の方向に動いていますよね。
勿論、これは後出しじゃんけんできれいな形を拾っているので実際のトレードポイントではもっと複雑な判断が必要になってきます。
くれぐれも、MACDって魔法のツールを手に入れたんだぜぇ。
とは思われないほうがいいです。
じゃさ、MACDって何なの。なんでそんなことが起こっちゃうの?
思いますよね。
MACDとは何か?
それは「市場における大衆の潜在的心理を顕現化させたライン」なのです。
なぜ、そう言えるのか?ここからはMACDの仕組みについてお話していきましょう。
MACDのパラメーターは3つあります。
①短期EMA用の本数の指定(言ってみれば先行するEMAライン)
②長期EMA用の本数の指定(言ってみれば基準とするEMAライン)
③シグナルSMA用の本数の指定
そしてMACDラインは①から②を引いた値をつなげたライン
シグナルラインはMACDラインを③で指定した期間の移動平均線で表し平滑化・遅行化させたライン
これは先ほども説明しました。
マーケットというのは基本的に大きな流れの中で小さな流れが起こっています。
例えば、時間足がアップトレンドを描いているとしても当然、5分足、15分足レベルでは上がりっぱなしでも下がりぱなっしでもなく、上下動を繰り返しています。
長期の流れは安定感がありますが、短期の流れは敏感に反応しています。
MACDは長期的のトレンドの中の短期的なトレンドの勢いを敏感に指し示しているのです。
つまり、どういうことか?
ローソク足やバーチャートだけを見ているだけではわかりにくい、心理的な迷い、言わば長期的なトレンドと短期的な勢いとの葛藤がダイバージェンスといういびつな形になって表れていると考えていいでしょう。
[長期↑、短期↑]で上げてきていたトレンドが[長期↑、短期↓]、[長期↓、短期↑]となっている際にダイバージェンスは起きているのです。
その後[長期↑、短期↑]とトレンド回帰するのか、[長期↓、短期↓]とトレンド転換するのかは分かりませんが、ダイバージェンスが起きているとき、それは投資家のロング期待とショート期待が入り混じった迷っている時であることは間違いがないのです。
MACDには市場参加者=大衆の欲望と恐怖によって引き起こされた「迷いの感情」がはっきりと表されているのです。
MACDラインを価格チャートに反映させてみると、どうなるか?
別ウィンドウに示されたMACDはつまり長期のトレンドの方向に関わらず、長期の中で短期の動きを見極めていくことに優れています。
つまりダイバージェンスを発見するためには極めて優れている有能なインジケーターです。
アペル開発者のアペルさんには深く首を垂れてお礼を申し上げたい。
「アペルさん、本当にどうもありがとう。」
ただし、先ほども申し上げたように長期ラインを”0″値として水平線化していることによって長期のトレンド自体は実は示されていないのです。言わば、(MACDが表示されている)ウィンドウの高さ幅全体が長期のトレンドが流れている川(下図A)、その川の中の細分化された変化をMACDラインとして表示されているのです。

「……」
賢明なる投資家を目指す皆様のことです。
あれっ?何か足りなくない?何か?なんだっけ?
そう思われますよね?
そうなんです。ダイバージェンスを探しやすくすることに重点が置かれているために、長期のトレンド自体はMACDには示されていないのです。もちろん、長期に含まれる短期の流れから長期の流れも変化するのはマーケットのフラクタル構造の原則から考えても自明のことなので、今私が述べたことが満点の正答ではないかもしれません。しかしMACDにおいては根本的に長期EMAの値を”0”値換算している以上、長期のトレンド自体は見えない状態となっていると解釈できるわけです。
それでは、その欠点を補うためにはどうしたらいいでしょうか。
そこで私の導き出した解が
MACDを価格チャートに表現してみる。です。
価格チャートにMACDを表現することはできるのか?
そもそも、MACDは2本のEMAの差・距離から示されるインジケーターです。
使われている2本のEMAを示せばそれがMACDの根拠となりえますが、それだとせっかくのConvergence/Divergenceが全く表現されていません。
それを価格チャート上に表現するのに重要な役割となるのが、シグナルラインです。
何故なら、シグナルは短期EMAを単純にシグナル期間で移動平均化したものではなく、MACDラインの根拠である2本のEMA間の値の移動平均であるからです。
シグナルラインが示せて初めて、チャート上にMACDが存在する、という事になると言って過言ではないでしょう。それがなければ、単なるEMAです。
それでは、頭を整理して考察しましょう。まず、
MACD_Value=短期EMAの値 – 長期EMAの値 なので
これを、価格チャート上に表現するとなると
macd=MACD_Value✚長期EMA
=短期EMAの値 – 長期EMAの値 ✚ 長期EMA
=短期EMAの値
signal=MACD_Valueの移動平均✚長期EMA
シグナルラインをこう定義することによって長期EMAと短期EMAの距離の増減が価格チャート上にも反映されることになります。
以上の算出方法でMACDラインを価格チャート上に反映させた結果が以下です。

垂直線が引かれているあたりをご注目ください。
しっかりとMACDラインがチャート上に引かれているのがお分かりいただけると思います。
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MTF=ON/OFFボタンを押すことによって現在足から3段階上位足のMTF MACDの表示・非表示の選択ができます。
MTFを非表示状態にしておくと、現在足のMACD on Chart のみ確認できる状態となります。
その下の時間足期間が表示されているボタンはチャート上の緑ラインで表されているボリンジャーバンドのミドル、および1~3σのバンドがMTFで表示される仕組みになっています。
また、ボラティリティを目視しやすくするために100pips(デフォルト)の幅を黄色い線で表示してあります。
こちらの”Chart NEO”をご使用いただくことによって、MACDによるチャート分析の基本”マルチタイムフレーム分析”が初心者の方でも容易に出来ることが可能かと思います。
ご興味のある方はぜひ一度お試しください。
また、こちらのツールと共に同じく[超解]チャートシリーズの”MTF_MACD”をあわせてご使用いただくとMACDの指し示すチャートの息遣いをより鮮明に感じ取れるようになれるはずです。
そちらも併せて、ご活用ください。
くれぐれも申し上げておきます。
トレードという世界は簡単に一朝一夕で勝てるようにはなりません。
まして、インジケーターに勝たせてもらうものでもありません。
インジケーターを使ってチャートを読み解けるようになったアナタ自身が勝ちを掴みに行くものです。
歯を食いしばって努力したものだけにしかチャートは微笑みを見せてくれません。
なぜなら歯を食いしばって努力したものだけにしか、それがチャートが見せてくれた微笑みだとは気づけないからです。
私の提供するツールが、チャートの微笑みを見つけられる一助となれれば幸いです。
こんなことは言いたくない、言いたくないですが、言ってしまいます。
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